凪のお暇 感想

凪のお暇の漫画を最新巻(5巻)まで読んだので感想を書こうと思う。ちなみにドラマは全く見ていません。

漫画の印象

軸は男二人と凪の恋愛模様と凪自身が自分を見つめ直して成長していくところだと思うが、そこに料理漫画の要素や嫌な女にやり返してスカッとする系(?)など最近の漫画の流行りや、OLあるあるや節約術などいろんなジャンルを混ぜてきている。そしてそのどれもがそれなりにおもしろいのでどれかしらは読む人の趣味にヒットするという形で人気が出てるんじゃないかな?と感じた。結果的に日常生活フェーズと青春フェーズ(?)が生まれるので漫画にメリハリが効いてて飽きないし疲れないのもいい。ただ、展開ありきで漫画を描くところがあって、スカッとジャパンやるために突然婚活に誘われて偶然元職場の人に会ったりとか、自分と元カレを見つめ直すイベントのためにうっかりスナックで遭遇したり(働いてる郊外の場末のスナックにたまたま元カレが来るってもうこれ運命レベルの偶然じゃない?結婚しろ)とか、やりたいことやるためにストーリーとしての必然性はかなり犠牲になっている印象。

登場人物

けっこうこのキャラクターに共感してる人が多い、というかこのキャラの空気を読みすぎて搾取されてしまうところが共感を呼んで一巻の時点でバズってた気がするけど、僕はあんまり共感できなかった。むしろ僕が凪に対して思ってることをだいたい慎二が言う。28歳にもなって物を捨てて生まれ変わった気になってみたり、隣人のことすぐ好きになっちゃって依存したり、なんか自転車で走り始めたり、大学生くらいで通過するべきところをアラサーになってやってるスベってる人。とはいえ、気持ちはわかる。これはよく言われていることだが、本来は人は結婚して子供ができることで育児と生活のために繊細で傷つきやすい心を捨て図太くたくましい大人になる。結婚が遅くなり必ずするものでもなくなった僕達の世代だからこそ、この主人公と漫画が受けているんだと思う。

慎二

自分が一番共感したのはこの人(わかると思うが陽キャで営業で売上ナンバーワンなところではない)。みんながクズクズ言ってるのが胸に刺さりますね。この漫画で一番コミュニケーションが下手。

ゴンさん

いつか本当に刺されて死にそうってみんなに言われてそう。こういうモテモテな男が主人公のことを雑に好きになることをおもしれー女メソッドと呼んでいます(呼んでいません)。

うららちゃん&うららちゃん母

癒やし。凪はDJイベントに行く金でうららちゃんにDSを買え

凪の母

今のところ典型的な毒親だが、漫画のテーマ的には掘り下げと和解イベントがほしい。

市川

スカッとジャパン要員。この子が絡み始めて次の展開が気になる感じになってますね。次巻を待て!

スナックの人たち

みんないい人

元職場の人たち

こわい

全体の感想

よかったところ

  • メインのキャラクターたちがみんなどこか欠けていて不完全だけど魅力的
  • 凪が成長していく姿は応援したくなる
  • うららちゃんと凪がいろいろ手作りしてるシーンが平和な世界で楽しい
    • ゲスなエピソードの間に挟まれることでほっこり度が高まっている
  • 僕は凪もただのクズだと思うが、キラキラした完璧な登場人物が最高の人生を送っていく話よりも、こういう生きるの下手な人が苦しみながらも生きていく話が好き

つまらなかったところ

  • 人間を描くのはうまくみんなどこかにいそうと思えるし、漫画自体も本当の現実社会を生き抜く主人公みたいな体裁で、凪も少女漫画みたいな展開は自分には起きないみたいなことを言っているわりに、かなり都合が良い展開ばかり起きるところ(無職成人女性が主人公で話を動かしづらいのはわかるが……)
  • 個人的な趣味の問題だが、嫌な職場の同僚やママ友にキッパリ言いたいことを言うみたいな話は好きじゃない
  • これも趣味の問題だが、冴えない主人公がエリートサラリーマンの元カレと死ぬほどモテる隣人に愛されてるけど本人は気づいてないという構図が嫌い(と思っていたが6巻ではどうなるんですかね)

最後に

これは漫画だから急に断捨離して自分探しをはじめても元カレも隣人も自分のことを好きでかまってくれるし、ちょっと勇気出せば隣の女子小学生も遊びに来てくれるし親とも仲良くなれるし、ハロワで会った人ともマブダチになれるし、道を聞いたスナックで気に入られて働けるし、いくらでも良い人間関係が手に入るけど、現実で28歳独身無職が人間関係リセットしたら絶対社会で孤立する